瑠璃の浄土と子供地獄

今年は祇園祭もすっとばして

いきなり夏

でも新型コロナの感染者数は増える一方

そのうち色々と

閉まったりする場所があると困るので

いそいそと京都市京セラ美術館へ

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杉本博司 瑠璃の浄土」

本来なら3月21日に始まっていた

この展覧会

コロナの影響で大幅に後ろ倒し

でも開催できてよかった

とはいえ予約制だし

入口で体温チェックとか

厳戒態勢ではあるが

そして

新装なった旧・京都市立美術館が

どうなったかも

けっこう期待

元の正門は閉まってて

その下、地下一階にあたる場所に

新たに正面ゲートという構造で

広々としていいんじゃね?

で、杉本さん

何て言うんでしょうか

物事をつきつめて考えて

煮詰めて煮詰めて

それを蒸留して得られた一滴

みたいなものを

この人の作品からは感じるのだけれど

音もなく時間もない

ただ光だけが存在する

それを「浄土」と考えるのも有りかな、と

展示は大きく分けて四部

まずは光学硝子五輪塔

海と水平線が見える

小さなガラスの塔ですが

一つ一つ

世界各地の海が封じ込まれている

そして「ニュートン廟」

プリズムで分けた光から抽出した

純粋な「色」の写真の数々

その奥にニュートンが書いた「光学」の

初版本が展示されてるんだけど

この空間を

「廟」と呼ぶ感覚がいい

そして隣は「仏の海」

ご存じ、三十三間堂の仏さんが

壁いっぱいに

何かこう、バーチャル三十三間堂

いや、やっぱりこれは仏の海だ

溺れるう~

薄暗さもあいまって

子供の頃

家に飾ってあった三十三間堂の写真を見ながら

人は死んだらどうなるのか

あれこれ考えていたことを思い出す

最後のコーナーは

俺・コレクション

隕石から古墳の勾玉から

硝子の茶器とか

どういうルートで手に入るんだろうね

という品々

 

ほんと久々に美術館を訪れ

そうそう

こんな空間で非日常の時間を過ごすことに

ずいぶん飢えていたのだと

あらためて気がつく

ところがですよ

この展覧会に

幼児を連れて来た親御さんがいて

でもさっぱり興味の持てない(当たり前じゃ)子供は

声をあげる

バタバタ走りまわる

あげくに

「い~や~!!!」と泣き叫ぶ

 う、うるせえ

人がいくら払ってこの空間と時間を

味わいに来てると思ってるんだ(千五百円也)

残念過ぎてイラっとする

そのままもやもやしてるのも馬鹿らしいので

係員さんに注意していただくようお願いする

あーあ

つまらん労力使った

とか思いながら

杉本氏のパフォーマンスのビデオなど見て

そろそろ出ようかとショップをうろついてたら

先ほどの子供がまた走り回ってる

機嫌なおったらしい

どうやら

足音が響くのが楽しいらしくて

わざと大きな音をたて

「おとーさーん!!」

ショップにいた父親は

にっこにこして

「どうした~?」

 

子供に罪はない

子供は騒いで走り回る生き物だ

だから彼らには

彼らにふさわしい場所がある

すぐそばには

動物園だってある

なのにどうして

美術館みたいに

泣き叫ぶほど

退屈な場所に連れてくるのか

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