南宋のブロガー

今も昔も

宮仕えは辞令が出れば

そこへ赴任せねばならん

たとえどんなに遠くても

というわけで

陸游「入蜀記」平凡社 東洋文庫

詩人として有名な陸游ですが

昔の中国の文人

ほとんどがお役人

彼もその例に漏れず

浙江省紹興から

はるばる揚子江を遡り

四川省まで

なんと約五か月の船旅

男もすなる日記というものを・・・

つけていた

さすが役人というべきか

とにかく毎日のように

行く先々で人と会ってる

もちろん会食ですよね

あとは大体、観光というか

これまた行く先々に寺などあって

そういう場所を訪ねたりして

旅はまったりと続く

とはいえやはり詩人である

沿岸の人々のたたずまいや

刻々と移り変わる沿岸の風景を描きながら

売ってる魚が大きすぎて

猫にやれる小魚がないとか

鶏を買ったけど

しめるのが可哀そうだから

そのまま船で飼ってるとか

時折、ツボにくる話が出てくる

政治的スタンスとしてはタカ派というか

文中にもそういう

軍事的な意見を述べてる部分もあるが

子供とあちこち出かけたり

なかなかに

いい人っぽいのである

 

当時の揚子江上流なんて

さぞかしワイルドな環境だろうと思うが

絶滅したとされる

カワイルカが出てきたり

今も健在な緑毛亀(背中に藻が生えている)の話が出たり

そういう風物を想像しながら読むのも一興

漢詩とはまた違う

散文の魅力というか

元祖・ブロガーここにあり