夜の街で磨いておられる

何となく見ちゃったよ

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

《銀座 夜の女たちスペシャル》

華やかでありながら厳しい世界

ドラマですなあ

一流の女が待つ店に

一流の男が集う

銀座は男を磨く街

そうかそうか

道理でうちの社長も

銀座とは言わんが

夜の街で男を磨いておられるため

あちこちの店から

「三周年を迎えました」

「お花をありがとうございました」

みたいな葉書が届くよ

時として、仕事の郵便より多い

そしてよく

朝の四時頃に

ご帰宅なさってる

これはタクシー会社より

「ご乗車ありがとうございました」メールが

送信されるので

判っちゃうのである

経費で落とすから

会社のメルアドに来るんだよ

だからといって

夜を徹して

骨身を削って接待してるわけでなく

あくまで私的な交際

そんな日は

朝少しだけ出社して

あとはお家でリカバリ

歩いてすぐの距離だから

 

夜の街じゃあ

親切な人なんだね社長

だって男を磨いてるから

それは判ったから

一円でもいいから

ボーナス出してみろよ!

出せなくなって何年だ!

昇給も全然しないな!

業績悪化のせいだと言ってるが

だったら経費でタクシー代落とすな!

以上

ちょっとやさぐれてみました

銀座に恨みがあるわけではありません

 

 

 

何に優しい

近所のオーガニックのパン屋さん

開業して二年ほどか

売れてます

夕方前を通ると

「本日は完売いたしました」

などという

食べ物商売なら一度は出してみたい

札が提げられている

がしかし

シャッターの降りた店の前に

ぽつんと置かれた

オリーブの大きな鉢植え

枯れてます

そういえば

オープン当時

開店祝いらしい

ベンジャミンの鉢植えが

リボンをかけられて

同じ場所に置いてあったんだけど

少しずつ元気がなくなって

枯れたんだよなあ

でもね

新築祝いとか開店祝いの

観葉植物が枯れるのは

悪い「気」を吸い取ってくれたって事で

良しとするもんらしい

それにまあ

開店してから軌道に乗るまで

はっきり言って

鉢植えの世話どころじゃなかったろうと

そうは思う

で、今

なんでまた同じ場所で

同じように枯らすのか

そこが謎

看板には「身体に優しい素材だけを使っています」

うーむ

植物にはあまり優しくない

大きなお世話だが

とりあえず鉢植えは

目につかない場所へ動かした方がよいかと

 

 

 

巡査来る

職場に巡査が来たよ

近所の交番から

来客の応対は大体私なので

出ます

ここ数日

何かと物議を醸している

巡査

用件はただ

年に一度の

「お変わりないですか」という

代表者その他の確認作業

はいはいと回答しながらも

少し心が騒ぐ

しかし多分いまこの時期

全国各地の巡査たちが耳にしているであろう

しょうもない事は言うまいと

そう思ううち

「ちょっと気になる事があって」と

口走ってしまう

「近所の大学の学生さんが

いつも自転車で

そこのバス通りの横断歩道

信号無視して

すごい勢いで突っ込んで来るんです」

けけけ

言ってやったぞお前ら

「将来のある学生さんだから

事故とか起こしたら可哀想ですし」

などとフォローのふりもしつつ

巡査

「わかりました

見かけたら厳しく注意します」と

去っていったよ

ご苦労さまです

 

 

 

「大奥の女たちの明治維新」

「大奥」に駄作なし

万が一、色紙に一筆などと頼まれたら

この言葉を書きたいと

そう思うほどの

私は「大奥」好きである

といってもシステムそのものではなく

ドラマ、映画で

タイトルに「大奥」と入っていれば

これはもうほぼ100%楽しめる

男女逆転だろうが

「んな馬鹿な」という設定が紛れ込んでいようが

「上様、おな~り~」の一声で

いとも簡単に大奥ワールドへの

お鈴廊下を渡ってしまうのだ

 

というわけで

安藤優一郎「大奥の女たちの明治維新幕臣、豪商、大名ー敗者のその後」(朝日新聞出版)

ドラマと映画により

テーマパーク化している

私の「脳内大奥」を修正するべく

本当のところ、どうだったんですかね

というのを探ってみる

とはいえ本書の主題は明治維新

タイトルは「餌」だった

なので大奥について割かれているのは第一章のみで

あとは江戸城に仕えていた幕臣だとか

江戸城に出入りしていた商人だとか

全国各地の大名だとか

徳川幕府が支配していた世の中から

明治維新によって放り出された

いわば負け組たちの「その後」に触れる

 

どうしたって歴史というものは

勝者が己の正当性を高めるために

自分に都合のよい話だけをまとめて

「これが正史じゃ」と

言い切るものだけれど

その陰で

激変した世界を生き延びた人たち

それぞれの見た光と闇が

現在に続く本当の歴史を作ってきた

いまこの時代も

あと何年もすれば

「平成という分岐点」などと

言われたりするんだろうか

流れの中にいる者には

一体どこに漂着するのか

さっぱり判らんものですね

 

てことで

やはり「大奥に駄作なし」であった

 

 

 

 

 

 

 

 

「おとこのるつぼ」

群ようこ「おとこのるつぼ」(新潮社)

男という生き物について

これでもか

これでもかと

その駄目っぷりを

憎しみを込めて

ではなく

淡々とした筆致で書く

ハゲに怯える

小さなプライドに固執

金に細かい

いるよなあこういう人

読み進めるうちに

激しく頷きつつも笑う

これが田辺聖子だと

「とはいえ男とはこういう所が可愛いのである」

という結論になるが

群ようこの場合

「ため息をつくしかないのだ」

という結びになる

かたや、父親の大きな愛と庇護を受けて育った女性

かたや、浪費癖のある父親を常に警戒して子供時代を過ごした女性

結果として男性観に大きな隔たりを生じる

群ようこのすごいところは

「だからこんなに不幸なんです」的な

自己憐憫のかけらも見せず

あくまで淡々としている点

彼女のスタンスは

初期の頃からまったくと言ってよいほどぶれない

エッセイストの中には

数年のうちに

書いてることが激変する人

というのもいる

これはこれで

その変わりっぷりに

鑑賞価値があるのだけれど

群ようこのキャリアの長さと安定性

なぜかいつも

高橋留美子を思い出してしまう

 

ところでこの本

初出は「新潮45」とある

読者の大半は「おじさん」

つまりこれは、啓蒙の書か?

いえいえ

これを読んで

「ひでえな~。でも俺は違うからな」

そう言えるのが

男という生き物だと思う

 

 

春の安否確認

今日もパトロールに行ってきた

春になって初めて

あの方に遭遇

やっぱり寝ています

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こちら飼い猫のようなので

安心だけど

猫屋敷アネックス(ただの空き家)に住む

黒白猫は野良

いつも呼吸音が荒かったので

心配していたものの

先日ようやく安否確認

無事に冬越し

実はその少し前

見てしまったんですよ

猫屋敷アネックスの門に

餌を置いてる人を

自転車に乗ってきた女性

もしや以前

魚のほぐし身を置いていった人ではないかと

彼女の助けもあって

食いつないでいたのか

でも微妙な

野良の餌付け問題

答えが出ない

 

 

 

 

猫なりの分別

よくお昼を食べに行く店

元々、猫がいるんだけど

ここしばらく

里親募集中の子猫が

預かられていて

店内を走り回っている

可愛いんだこれが

お店の飼い猫は立派な大人なので

そう人間にちょっかいを出さないが

こちらは子猫

私が携帯を見てると

角っこに頭をすりすり

鞄の中は何じゃろな

首を突っ込んでみたり

とにかくじっとしていない

 

今日も店に入るなり

ニャ~と呼びかけてくれて

テーブルの上に乗り

互いに頭突きでごあいさつ

なんか毎週会う度に

大きくなってると感じる

育ち盛り

でもそれは

身体だけじゃなかった

ちょっと前までは

油断していると

テーブルに飛び乗り

お茶のグラスに顔を突っ込む

(さすがにこれは交換してもらう)

料理のお皿にぐいぐい来る

(死守します)

などなど

とにかく暴れまくっていたのが

今じゃずいぶんと

落ち着いてきたじゃありませんか

空いた席にひとり座って

じっとしている時もある

なんかこう

猫なりの「分別」が芽生えたような

子猫の数週間って

人間でいえば何か月にあたるんだろうか

 

とはいえ

無防備な人懐っこさが

この方の魅力

もうしばらく暴れていてほしい

そして

いい家族に出会っておくれ