貴族の肖像

クラーナハ展に行ってきた

思ったより空いてたので、ゆったり鑑賞

白い素肌の美女たちが

ひんやりした視線で

よく来たわね、とお出迎え

肖像画のモデルは熟年層だけど

もしかしてそこにフラストレーションがたまり

わしゃあ若い娘も描きたいんじゃ!

ということで

ヴィーナスやユディトを描いたか?

なんてな

 

肖像画といえば

ずっと前にパリで

ルーヴルやオルセーとかに行き

暇なもんだから隅から隅まで見てると

けっこうな量の肖像画があった

多すぎて飽きてくるので

ゲームをした

上流階級の肖像に混じった

画家の自画像当てクイズ

服装はヒントになるので、頭部だけのデッサンが対象

意外と当たる

取り澄ました人々の中に

どこかお茶目な顔の人がいれば

それが画家です

後にこの話を

長年ヨーロッパに住んでいる友達にしたら

「そうそうそう、貴族の人って本当に貴族的な顔なのよ」

今も変わらないらしい

 

春眠不覺曉 リーマン編

朝の通勤電車

二人掛けのシートが並ぶ特急の車両

通路側、若手サラリーマンは爆睡

窓側のお姉さんは花粉症なのか、マスク姿

アナウンスが流れ

電車は次の駅に到着

お姉さん立ち上がった

サラリーマン起きず

「あの、すいません」

お姉さん声をかける

サラリーマン反応なし

彼は膝にでっかい鞄をのせ、足を投げ出しているため

お姉さん出られない

「ドアが閉まります」のアナウンス

お姉さん立ちつくす

周囲も無言で見守る

私はめらめらと

サラリーマンの肩をゆすって起こしたくなる

しかし距離があるので自粛

再び「ドアが閉まります」

お姉さん動けないまま

ドア、閉まって発車

力なく腰を下ろすお姉さん

次の駅で降りて引き返すのか

そう思ってたら

ずっと起きないサラリーマンとともに

終点まで行った

お勤めの方とお見受けしたが

大丈夫なのか?

遅刻届に「リーマン爆睡のため」とか

書くわけないか

ヘッドホン

友人につきあって某家電量販店、ヘッドホン売り場へ。

iPodは付属のイヤホンで聞いてたので、

ヘッドホン市場には全く疎く、

その充実ぶりに驚愕。

手持ち音源で視聴もできるなんて知らなかった。

ここはひとつ、お高いのをいってみましょう。

私は重低音は皮膚、体毛、ヒゲ(あれば)等、身体で聞くものだと思ってるので、

ヘッドホンでは中高音の繊細さを重視。

BOSE 三万円台

なかなかいい感じの響き。

次、更にお高いの。

JVC ほぼ七万円。

振動版が木製だとか書いてあるけど、技術的な問題よくわからず。

せっかくだからクラシックを聴いてみる。

ラヴェルクープランの墓」ピアノ版より「プレリュード」

おお、粒立ちが違う!なんか「美味しんぼ」的な事を言いたくなる音。

次、オーケストラはどうかね。

チェリビダッケ指揮の「シェヘラザード」。

出だしの金管からもう半端ない臨場感。

今度はトリップ感のある曲を。

スティーブ・ライヒ「沙漠の音楽」ファーストムーブメント。

これはすごい。三百六十度沙漠で蜃気楼を見ているような、あっち側に連れてかれる感。

きりがないのでやめました。

こんなの聴いてしまったら五千円のヘッドホンとか無理だわ

だからって七万も出せないが。

 

というわけで久々に「沙漠の音楽」を全曲聞きたくなったけど、

アナログ盤しか持ってない。

プレーヤーはとっくの昔に処分。

色々と不完全燃焼。

 

「パークアヴェニューの妻たち」

「パークアヴェニューの妻たち」(講談社)を読んだ

ニューヨークセレブ妻の生態を

当事者となった著者が人類学的視点から分析

というわけでご期待通り

上流階級マダムのビッチなマウンティング合戦が白日の下に!

ドラマ「デスパレートな妻たち」をほんのり思い出す

シニカルな笑いを誘うエピソードの数々。

ところが、著者の身に起きた不幸をきっかけに

セレブ妻たちは別な素顔を見せ始める。

人間ってやっぱりサルの仲間なんだと

納得すると同時に

サルで上等と安堵する本でもある。

「ママ友文化」が日本固有の現象ではない事も判明。

「これだから日本の母親は」とか言ってる人にも一読いただきたい。

 

ところで

ふちねこ2号ゲット。

休みの日に、わざわざ電車に乗ってまで…

もうしません。

 

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「木皿食堂」

「木皿食堂」(双葉社)を読んだ。

著者は夫婦の脚本家ユニット、木皿泉

ドラマ「すいか」などでお馴染み。

最近だと「富士ファミリー2017」かな。

本の内容はエッセイあり、対談あり、シナリオありと多彩。

読み進むうち、この人たちは誰かに似ている、誰かに…と思い始め、

出て来た答えは「田辺聖子とカモカのおっちゃん」。

同じ関西という土地柄か(おせいさんは大阪、木皿夫妻は神戸だけど)

どこかゆるーい感じと

おいしいものが大好きで、日常のささやかな事にも目を向け、

時として妻の肩に力がはいりすぎると、

夫が絶妙のとぼけた合いの手を入れるあたりがよく似てる。

というわけで勝手に、「21世紀の田辺聖子」の称号を贈ります。

本業は脚本家だけど、もっとエッセイも書いてほしいもんだ。

 

デヴィッド・ボウイ大回顧展

DAVID BOWIE is デヴィッド・ボウイ大回顧展」に行ってきた

充実の内容

彼がどれだけ後の音楽シーンに影響を与えたか、十二分に納得。

同時に、何が彼を形作ったかも知る事ができる。

キュレーターさんの緻密な仕事に感服。

それにしても、衣装やなんかはともかく、

ツアー日程のファックスとか、

ストリングスのギャラ明細とか、

よく残してたもんだ。

ボウイ、断捨離とは無縁というか、みうらじゅん的ですらある。

 

ところで、彼が大いにインスパイアされたという

スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ

人間性を疑われそうだから親しい人にしか言ってないけど

私にとって唯一無二の映画。

「こんな暴力的な映画を作るから真似する奴がいる」などと

勘違いする人もいるようだけど

そういう意見はほっといて。

ボウイと趣味が合って、よかったわ。

今日って何日だっけ

昼下がり、友達とお茶

「震災の話、テレビや新聞で色々やってるけど、明日からまた平常通りだろうね」

なんて会話のすぐ後に

「ところで、今日って何日だっけ?」という質問が。

いやだから、今日が3月11日だよ!

思い切り突っ込む。

そうやって喋りまくるうちに14時46分も過ぎた。

隣のテーブルでは大学生らしい女子二人、ノートを広げている。

天気は晴朗。

 

「星空文庫」にアップしている小説の一つは

震災のすぐ後から半年ぐらいかけて書いた。

地元を離れた子供よ負けるな、という気持ちが、

そうあからさまな書き方はしたくない、と思ううち

なぜか狸が化けた人の話に。

でもまあ、根底にそういう事がある。

 

遅ればせながら黙祷。