貧困を「見物」する

正月は主に眠ることに費やし

最近ようやく読書

で、手にとった

ダレン・マクガーヴェイ「ポバティー・サファリ」集英社

タイトルだけ見たら

何のこっちゃ、だが

サブタイトルは

「イギリス最下層の怒り」

という事で貧困問題

イギリスはスコットランドグラスゴー

貧困に直面するコミュニティで育った著者が

自身の回想とともに

この解決困難と思える課題を

どのように乗り越えるかについて語ったもの

 

そして話はタイトルに戻るが

ポバティー(poverty)はずばり貧困だが

サファリってのは何だ?

実はこれ、ラッパーでもある著者の造語で

いわゆる「心ある人」が

貧困問題に関心を寄せてはくれるが

それはサファリ見物のように遠巻きで

「すごいね~」の後は

いつしか忘れてしまい

貧困にあえぐ側は置き去りにされるという

分断された状況

 

たしかに

社会問題に感心を持つことと

深くコミットするのは異なる

所謂「きれいごと」ではすまされないし

何よりも己の中にある欺瞞と

直面しなければ始まらない

著者自身

自分は貧困問題の被害者であり

特別なケアが必要なのだと

周囲への怒りを抱え

ドラッグとアルコールに溺れていたが

他者とのつながりを持つうちに

自身の認識の歪みに気づき

自分が変わることによって

新しい世界を手に入れる

 

「人を変えるより自分を変える方が早い」

よく言われることだが

早いかもしれないが楽じゃない

それはそれで茨の道だ

ともあれ

どんな問題でも

外側に全ての原因があるわけではなく

自分もその問題の一部である可能性は

意識しておきたいもんです

だからこそ

自分が何をするかが大切なのだと