影武者といえば

知らん間に

張芸謀の新作が公開されとるの

どうも「チャン・イーモウ」という表記に馴染めない

つうか

チャンだろうがチェンだろうが

片仮名よりも漢字の方が

すっと目に入ってくると思うのは

私だけでしょうか

だったら司馬遷もスーマー・チエンにしとけよ

などという屁理屈はおいといて

「SHADOW 影武者」

やはりというべきか

あっという間に上映終了の匂いがしてきたため

急いで劇場へ

 

影武者といえば

どうしたって黒澤作品が頭に浮かぶが

あちらは急ごしらえ

こちらは八つの時から養われてきた

影武者でございます

強国に奪われた領土を取り返したい

弱小国の権力闘争

戦争は避けたい王と

王よりも人望があり

戦いも辞さず、の都督

しかし都督本人は重い病に倒れ

宮廷に出仕しているのは影武者

その秘密を知るのは妻の小艾のみ

というわけで

虚実入り乱れた駆け引きに

王の妹(萌えキャラ担当)の政略結婚と

都督と敵国の将の一騎打ちも加わり

更には秘密の領土奪回作戦

影武者は自由の身になれるのか

色々盛り沢山です

そして

たぶんプロデューサーの意向もあろう

白髪三千丈的に過剰な

戦闘シーンも織り交ぜつつ

ただひたすら雨が降っている

モノトーンの水墨画的世界

後はやっぱりお約束の

覗き見(©「菊豆」)シーンなど

張ワールドが展開

それにしても今作は

かなりのスプラッター

白と黒の中に

ほとばしる赤が炸裂し

ちょっと食傷気味

最後まで

一体誰がどうなるんじゃい

と思わせるが

もしかして監督のスタンスは

全てを知りつつ

「え?こういうオチ?」という顔でラストを迎えた

満身創痍の田戦か?

 

そして宮廷に何枚も掲げられた王の書

あれ何となく

毛沢東の草書を思い出してしまうんだけど

そこまでは狙ってないよな

ともあれ

冒頭とつながった結末が

なかなかに余韻を残します