コサックの少年

ネットのニュースで

ビクトル古賀の訃報を伝えていた

格闘技の世界では

サンボの達人として

レジェンドらしいが

私は格闘技には疎い

なのに何故、彼を知っているのかというと

彼の少年時代に関する本を

読んだことがあるから

 

「たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く」石村博子著 角川書店

1935年に満州の奥地ハイラル

日本人の父と

コサックであるロシア人の母の間に生まれたビクトル

彼が十歳の夏、8月9日

ソビエト満州への侵攻を開始する

戦乱の中で家族は散り散りになり

ビクトルはたった一人で

中国大陸を歩き

日本を目指す

 

波乱の日々

立ち塞がる困難の中で

彼を支えたのは

持ち前の生命力と

母方の一族、コサックの生活で学んだ

自然の中で生きるための知恵

敗戦という厳しい現実にもかかわらず

ビクトル少年はどこか飄々と

たくましく、そして明るく

自分を信じて

前へ進む

 

大人だけが読むのは勿体ない

児童文学にでもリライトしてほしい

というか、ジブリかどっかでアニメにしてくれ

と思うほどに

ビクトルが魅力的なのだ

そのビクトルが世を去った

享年83

今ごろは愛馬シェルカに乗って

大草原を駆けているだろうか