「空海-KU-KAI」

盛大に宣伝している映画といえど

気がつくと上映終了していたりするので

早々に見に行った

陳凱歌監督作品「空海-KU-KAI」

(どうもチェン・カイコーという表記になじめず

敢えて陳凱歌と書く)

タイトルに「空海」とつけるからには

数々の奇跡を起こした弘法大師伝説かと思いきや

唐に渡ったばかりの

未だ何者でもない空海

これまた未だ何者でもない白楽天

長安の都で起こった怪事件の謎を暴くという話で

原作は夢枕獏

ざっくり言えば

空海安倍晴明

楽天源博雅という

陰陽師」的なつくり

事件の鍵を握るのは一匹の黒猫

「妖猫伝」の原題にふさわしく

空海よりも出ずっぱり

そして事件はどうやら遡ること三十年ほど前

玄宗皇帝の時代に起きた

安史の乱楊貴妃の死に

関りがあるらしい

という具合に

謎解きを進めつつ

ウェルカムトゥ大唐帝国的に

絢爛豪華な映像

さらに大作「長恨歌」を書きながらも

李白の「清平楽」への劣等感を抱える

詩人・白楽天の葛藤など

色々ぶっこんだ娯楽大作に仕上がっております

後半少しもたつく感じはあったけれど

楽しめた

恐れていた過剰なCGも

「あぶねえ!」と思う箇所はあったものの

どうにか乗り越えた

そして何より、猫

いかんいかんと思いつつ

出てくるたびに

脳内で猫ポイントが加算され

結果としてかなりの高得点に

 

それにしても今日この映画を見るまで

白居易の「長恨歌」なんかすっかり忘れていて

そういや漢文の授業で習ったよと

思い出した

当時の記憶としては

「やたら長い」(なんせ長恨歌

そしてやっぱり

李白の方がインパクトある」

わ~

楽天すまん

単に好みの問題だから

 

さて

久々の陳凱歌監督作品

やっぱり陳凱歌だった

人は何を支えにして生きるのか

その支えは時として

本当にはかなく

他者から見れば「いや、無理でしょ」

としか言いようのないもので

それでも自分の中の

小さな灯を消すまいと

たたかっているのだ

「辺奏辺唱」の老いた楽人だとか

「覇王別記」の蝶衣だとか

思い出してしまった