「父 岡倉天心」

「父 岡倉天心岩波現代文庫)」岩波書店

岡倉天心というと

フェノロサと一緒に

法隆寺秘仏、救世観音を

祟りも恐れずご開帳しちゃった人

という印象しかない

というわけで

息子、岡倉一雄による評伝を読んでみた

明治維新の横浜生まれで

幼い頃から英語教育を受けるという

当時の日本においてはぶっ飛んだ成育環境

二十歳で既に文部省勤務

文明開化という

時代の要求があったにせよ

昔の人は世に出るのが早いねえ

ともあれ

西洋文化崇拝に傾きがちな時代に

東洋文化の価値を世界に発信という

スケールの大きさ

そして私生活も山あり谷あり、振れ幅大

なのにけっこう繊細なところもあったりする

明治のトップランナー

そんな天心を描く息子の筆致は

意外なほどにクール

そこが却っていい味出してる