ウィーン、日帰り

クリムト、見に行く?」

そう聞かれてOKし

行った展覧会の名前は

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ、世紀末への道」

だったとしたら

そしてクリムトの油彩作品は

十点以下だったとしたら

「一発かまされた」と思いますか?

「人によっては、そう感じるかもしれない」

というのが

私の率直な感想

しかしだ

クリムトのことばかり頭にあり

ウィーンという都市の事など

毛ほども考えずに会場(国立国際美術館)に入ると

そこは十八世紀のウィーンだった

いきなり出くわす女帝、マリア・テレジアの肖像

ベルばら世代にはお馴染み

マリー・アントワネットの母上ですね

そこから一気に

へーえ、あの時代のウィーンって

こんな感じだったんですかと

前のめり

はっきり言って

貴族社会がアッパラパーになっていた

フランスより

はるかに近代国家の匂いがするじゃないの

時代はさらに進み

十九世紀には市民社会が成熟

それに伴って

家具や食器などの産業デザインが発展

都市は拡大し

近代建築の数々が生まれる

そして十九世紀末

時代の最先端をゆく芸術家が集まり

名実ともに「芸術の都」に

 

絵画を中心にして

椅子や食器、装飾品や衣類

建築設計図や出版物など

幅広い展示内容ながら

散漫にならず

ウィーンという都市の歩みを

立体的に語る

たいへん面白い展覧会でした

もちろんクリムトもよかったけど

シーレの「ひまわり」が気に入った

他の誰にも描けない絵

 

ところで

下世話なところで興味をひかれた

楽家シェーンベルクの描いた絵

率直に申し上げて

「音楽家シェーンベルクが描いたのでなければ

ウィーン・ミュージアムには収蔵されなかったであろう

お父さんの日曜画家的な作品ですが

これらが画家、ゲルストルとの交遊から生まれ

最後は自分の妻と不倫されてしまうという

なんともほろ苦な結末を考えると

 本当に貴重な歴史的史料ではないかと・・・