上野の顔真卿

ああ~忙しい~

という日々が一段落して

久しぶりに東京国立博物館

特別展の「顔真卿 王羲之を超えた名筆」を見に行く

王羲之を超えた」って

のっけから大風呂敷ですよ・・・

しかし

それだけの事はあるというか

来館者数も相当なもので

平日の昼前を狙ったというのに

上野駅あたりから

すでに人の流れが

皆、動物園でシャンシャンだよね?

という祈りも空しく

同じ方向へ向かい、東博平成館へ吸い込まれる

今回の目玉は

台湾の故宮博物院からやって来た「祭姪文稿」

入館した段階で「10分待ち」の表示があり

ほほう、と思ったものの

これが大きな誤り

 

さて、展示内容は漢字の歴史を繙くところから始まり

顔真卿以前の唐代の書を紹介し

メインの顔真卿コーナー

日本における唐代の書の受容

唐に続いた宋代における顔真卿の評価

後世(元明清)への影響

といった構成になってますので

顔真卿だけでなく

ついでに書道史まで勉強できてしまうというお値打ち感

 

場内は書道愛好家が溢れ

というより

そこは中国だった!

といっても過言ではないほど

周囲から中国語ばかり聞こえてくる

そう、時はまさに旧正月

皆さん来日しておいでです

「祭姪文稿」が日本で展示されているという現実

例えるなら

正倉院螺鈿の琵琶がモスクワで二か月間展示されてる、的な

「うちでも滅多に見れないお宝が何故よそで!?」という

座視しちゃおれん感が炸裂か

 

というわけで

じっくり見ながら移動して

いざ「祭姪文稿」のお部屋に来たら

「待ち時間60分」

それが嫌さに有給とって平日に来たのに・・・

などと文句は言えん

並びましたとも

途中、列の折り返し地点でけっこう見えるのもよし

実際には60分も待たなかったとは思う

がしかし

「立ち止まらずご覧ください」

という事で

ああああ~

目の前を流れて行ったよ

 

今回ゆっくり見れたのは

同じく故宮博物院

懐素の「自叙帖」

ぜーんぶ広げてあると

本当に迫力がありますね

黄庭堅もよかったが

そして残念だったのは

最澄の「久隔帖」が

既に展示替えの後だった・・・

ともあれ

顔真卿のぶっとい魅力を堪能できた

楽しい展覧会でした

一カ所だけ写真可

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そうそう、「説文木部残巻」もよかったよ

実に繊細な職人技!

 

今回は旅のお供に講談社学術文庫の「顔氏家訓」

顔真卿の先祖である顔之推が遺した家訓だが

ゴシップネタ的なものもあり

そうお堅い内容ではない

乱世を生きる心構えここにあり

顔さん一族は立派だねえ