夜道の電子レンジ

こないだの朝

電子レンジを使うと

なんか妙に音がでかい

しかも温まってないし

さらに、ビニール系のものが

焦げたような匂い

壊れた

そう驚かない

だって本当に高齢だったから

ずっと前

 バイトをしていた会社の

社長さんにもらったもの

その時点で中古だったのよ

つまり二十世紀生まれの家電

当時まだ友達とルームシェアで暮らしていて

台所にはガスコンロと冷蔵庫しかなく

電子レンジの登場は

画期的だった

ちなみにご飯は鍋で炊いてたなあ

 

まあそういう高齢家電なので

大往生の覚悟はしていた

今は真冬

電子レンジがないとすっごい不便

なので速攻

仕事帰りに買いに行った

あーこれこれ

ハイアールの一番安い奴

箱を持ち上げると

なんか重い

実を言えば

電子レンジなんて久しく持ってないので

その重さを「オーブントースターぐらい」と思い込んでいた

レジへと向かう途中で

なんかやばいかも

とは思ったが

「無いと困る」が勝り

そのままお会計

レジでも淡々と取っ手をつけてくれたので

ぶら下げて帰る

しかし店から出た時点で

すでにやはり重い

推定10㎏

家まで500m強

すぐ近くのスーパーの

カートを借りて帰るという案が

一瞬頭をかすめるが

いやそれまずいっしょ

ほどほどに人通りもあるし

我慢して歩く

だいたい50mで休憩

片手で持つのはきついので

両手で引っ張り上げて持つ

箱がもう一回り小さければ

抱えるんだけど

それも無理

そうこうするうち

ウォーキングのご老人たちに追い抜かれ

寒いんだけど

暑くなり

誰か親切な人が持ってくれないかな~

などと思いつつ

休みながら歩く

たぶん戦後

闇市帰りの人って

こういう感じだったんじゃないかと

重い、重いんだけど

絶対にこれを持ち帰らねば

という使命感

 

普段の三倍ほどの時間をかけ

ようやく帰宅

そのまま勢いで開梱、設置

そして暖かい夕食

 

今回よく判ったのは

重い荷物は背負うのが正解

翌日

肘と肩の後ろが筋肉痛

これからの課題は

壊れた電子レンジを捨てる

もうすでにかなり邪魔

お世話になったのに

ありがとう・・・