そして武侠小説

年明けいきなり西部劇を読み

これは日本でいえば時代小説

ということは

中国なら武侠小説

という流れで

読んでみました

 

金庸著 岡崎由美 監修 小島早依 訳「碧血剣(全3巻)」(徳間書店

いや~面白かったよ

時は明末

讒言により皇帝に父を殺された主人公が

武術の達人となり

復讐を果たそうとするも

歴史の荒波により

事態は思わぬ方向へ

ざっくりこんな流れだが

波乱万丈

個性豊かな登場人物と

変化に富んだ武闘の数々

謎あり、過去の因縁あり

カンフー美少女も忘れるな

三角関係もついてくる

というわけで

「巻を擱く能わず」とは

こういう時に使う言葉かと

思いつつ

まあ休み休み・・・

それにしても

出て来る女性のキャラが濃い

特に五毒教教主、何鉄手のアクの強さは半端なく

彼女が出て来るだけで

ビジュアルが永井豪作品になるような存在感

作者も気に入ったのか

続編にまで登場している模様

それを思うとツンデレ青青は

後半大人しくなったな

この女性キャラの豊かさは

紅楼夢」を思わせる

熙鳳ねえさんも

キャラが立ってたねえ

 

しかし日本の忍者小説ではないが

作中、様々な場面で、一瞬のうちに

敵の経穴を封じ

暗器を飛ばし

内功を巡らし

軽功を使う

いうなればワイヤーアクションかCGみたいなもんですが

読んでるうちに

これ本当じゃね?という

気がしてくるから怖い

 

興味深いのは

師弟関係において

お互いの上下関係が極めて厳密であり

血縁関係に置き換えられるような

形になっている

なので

初めて会う相手でも

「この人は伯父弟子にあたるから」等々

まず自分との関係性を頭の中で確認してから

どのような態度で接するかを決める

というような描写が

しばしば見られるが

中国の人は

実生活の人間関係においても

そんな感じなんだろうか

もしかして

「人生に必要なことは全て金庸作品で学んだ」

的な中国人は

けっこう多いんじゃないかと

ちなみに

中国生まれの知人は

親に連れられ中学生の時に来日し

日本語は「北斗の拳」で習得

「敵と書いて友と読む」という具合に

人生に必要なことは全て「北斗の拳」で学んだらしい