「最後の馬賊」

モンゴル

この言葉を聞いて連想するもの

白鵬あたりの力士たち

チンギス・ハン

草原

遊牧民

そういう漠然としたイメージか?

さてそのモンゴルの歴史

特に現代史となると

…よく判らんな

という人が多いのではないかと

世界地図を見ると

ロシアの南にモンゴル国があり

そのまた隣の中国には内蒙古自治区という自治区がある

この広大な地域に住むモンゴル族

同じ民族である彼らは

なぜ別々の国に別れて暮らしているのか?

いや実はその昔

日本が満州国建設に乗り出していた頃

中国人の支配を受けることを良しとしない

モンゴル族による民族自決運動があった

中心人物はチンギス・ハンの子孫である徳王

彼を支え続けたのは

馬賊上がりの将軍、李守信

 

というわけで

楊海英「最後の馬賊 「帝国」の将軍・李守信」講談社

李守信の評伝という形をとりつつ

彼らの民族自決運動が

どのような運命をたどったかを描く

 

中国に対抗するために

大陸へと勢力を伸ばしてきた

日本の関東軍と手を結んだ李守信

だが最初は協力的に見えた関東軍

実のところ

己の利益しか眼中になかった

戦争はもちろんの事、外交も

とどのつまりは「私欲」である

それをどうやって取り繕い

「友好」や「親善」

あるいは「支援」といった言葉に置き換え

相手を最大限に利用するか

そういった策謀の繰り返しだった時代

だからより一層

豪放磊落、かつ恬淡として

部下たちの信頼もこの上なく篤かった

李守信の生き方が

ひときわ鮮やかに浮かび上がってくる

 

 

中国の内蒙古自治区

オルドスあたりは

何度か行ったことがあり

出てくる地名も

懐かしかったんだけど

そこに住んでいた

 モンゴル族の人々が

漢民族化していることについて

当時、さして何も考えていなかった私

どこの国においても

民族問題というのは

過去からの歴史であり

現在の軋轢であり

未来への課題である