「香港への道」

三連休で

大きな予定がないと

ついうっかり読書三昧で終わりそうに

ということで

西本正/山田宏一・山根貞夫「香港への道 中川信夫からブルース・リーへ」(筑摩書房

 

1940年代、満映の養成所からキャリアをスタートした

カメラマン(本文中では「キャメラマン」 こっちの方がそれっぽい)西本正

この本は彼へのロングインタビューをまとめたもの

満州の撮影所で敗戦を迎え

会社は共産中国に接収され

そこへまた国民党が来たりして

日本へ帰国

その後50年代後半から

香港へと活動の場を移してほぼ30年

といった感じで

一映画人の人生でたどる近代史

政治とはまた違った

娯楽産業における国際交流の歴史でもある

  

まだまだ中国では政治的な不安定さが残る頃

香港で映画産業を支えていたのは

上海などの大陸から来ていた人たち

そこへ西本氏も加わり

新しい時代を作ってゆく

とはいえ

色濃く残っていた反日感情に考慮し

クレジットには「賀蘭山」という中国名で登場

ブルース・リーの「ドラゴンへの道」(ローマでロケした奴)や

なつかしの「Mr,BOO」シリーズ

キョンシー映画「霊幻道士」などなど

記憶に残る作品の撮影を担当

平然とパクリが横行するという香港映画界の

引き抜き合戦やら

人間関係も面白く

70年代香港の

独特な雰囲気も楽しめる本です

写真も多数収録で

ローマで撮られたブルース・リー

リラックスした表情がいいよ

李香蘭作品も撮ってます