1954年12月のモスクワ

ラヴェル

「亡き王女のためのパヴァーヌ

ピアノ版とオーケストラ版があり

ピアノ版を動画サイトで聞き比べ

作曲家自身の演奏もあり

これはこれで味わい深いんだけど

リヒテルの演奏を発見

リヒテル

よく聞く名前じゃーありませんか

どれどれ

 

たまげた

冒頭の素朴な感じに始まり

感傷的になり過ぎず

淡々としかし丁寧に

骨のある素晴らしい演奏

そこで改めて

リヒテルについて検索

書いてあったよ

「20世紀最大のピアニスト」って

すいません

なんかクラシックって

ブーニン?ミーハーだね、みたいな

蘊蓄を語る感じがどうも鬱陶しく

誰が弾いてても別にええんじゃ!的に

ビッグネームを回避してきた結果が…

 

ところで

このサイトに上がってるのは

1954年12月のモスクワでのライブ録音

ヘッドホンで聴いてると

いや聞こえるわ聞こえるわ

客席の皆さんの咳払いが

しょーがねえな全く

そう思う一方で

なんかとても貴重な

時代の記録のような気がしてきた

1954年

第二次世界大戦終結してから

まだ十年経っていない

12月

冬のソビエト連邦、モスクワ

劇場内は暖かかったのか

隙間風が吹きまくっていたのか

聴衆は特権階級だったのか

社会主義国の主役

労働者たちだったのか

衣食住、足りていたのか

風邪なんか冬じゅうひきっぱなしだったのか

一つ一つの咳払いに

そんな事を思う

ちなみにソ連では

スターリンがその前年に死去

この年より原子力発電を開始

チェルノブイリ原発での事故は

それから32年後

 

なんとなく

コンサート会場での咳払いに

少し寛容になれそうな気がしてきた