石川九楊展「書だ」

日曜のJR上野駅

十時と少し前に着くと

そりゃもうすごい人

主に親子連れが

わっさわっさと公園に

流れこんでゆく

夏休みだねえ

その流れを少し避けて

上野の森美術館

石川九楊展「書だ」を見る

最終日ということもあるのか

けっこう並んでおります

 

磔にされた

キリストの言葉から始まる大作

その上には李賀の詩

真っ黒に塗られて

何だかわかりゃしねえ

と一瞬思うけど

実は字が書いてある

その、きわっきわの

墨の深さ

七十年代の作品には

京大の立て看板の匂いがある

猥雑とも言える世界

そして一転

静けさに包まれた

日本の古典へ

とはいえ

一筋縄ではいかない

線と線の交錯

乱れた女の髪

脳波

ヒエログリフ

神経細胞

木の根っこ

色んなものに似ているが

よーく見ると

ちゃんと出発点がある

「かな」だったりする

なんかね

楽しんでるな、と思ったよ

もちろん

そう楽して書いたものじゃないだろうが

 

一通り見終わり

物販コーナーへ行くと

九楊先生サイン会の真っ最中

時間がないので列にはつかなかったけど

しばし筆遣いを拝見

けっこう寝かせて書いておられた

こんど真似してみよう