「五色の虹 満州建国大学卒業生たちの挽歌」

満洲国」

この名を目にして連想する言葉

ラストエンペラー

開拓団

李香蘭

満鉄

ソ連軍侵攻

人それぞれとは思うが

そこに大学が作られていたとは

知らなかったよ

三浦英之「五色の虹 満州建国大学卒業生たちの挽歌」(集英社

この本で語られる建国大学とは

満州国のいわば「国策」として創設された

幻の大学

五族協和」というスローガンを実現すべく

日本、中国、朝鮮、モンゴル、ロシアの各民族から

優秀な学生を選抜して

エリート教育を行った

何より特筆すべきは

学内で言論の自由が保障されていたという点

だがそれ故に

この大学は矛盾を抱える

戦時下という状況において

無邪気な理想論を基盤にした

「仮想現実」とも言える場所

そして日本の敗戦とともに

その存在は抹消され

卒業生たちはそれぞれ

過去と決別して

激変した世界を生きることになる

消滅した国家と

そこに作られた幻の大学

しかし学生たちが育んだ固い絆だけは

何十年という時と国境を超えて

尚も互いを結び続ける

 

私の手元には「大満洲国」と刻印された

五分硬貨がある

祖母の遺品から出てきたのだけれど

彼女はずっと内地にいたので

たぶん誰かにもらったものを

「外国の硬貨」的な感覚で

とっておいたのだろう

私がこれを保存しているのは

自分の国が過去に犯した愚行と

国は平然と国民を欺くという事を

忘れないためである

 

この本を読了して何故だか

イエモンの「SO YOUNG」が

聴きたくなる

紛れもなく青春の記録

 

OTAKUの脳内カオス

GWですもの

映画の一本も見たいわな

というわけで

レディ・プレイヤー1

これにするか

「パシフィックリム・アップライジング」にするか

一瞬迷ったが

続編は正編を超えないという法則にのっとり

こちらへ

いずれにせよ

「大画面でガーッと」

というのが目的なのでOK

久々のスピルバーグ作品

 

時は2045年(だったかな)

理想のバーチャル世界「オアシス」で

創設者が隠した三つの鍵を探し出し

お宝ゲットだぜい!

ざっくり言うとこんな感じで

金の力で割り込んでくる

巨大企業との闘いと

仲間との絆と

宝さがしと

全部まとめて出発進行

80-90年代の

懐メロとともに

当時のポップカルチャー

これでもかと詰め込まれた一品

 

万能感あふれる仮想空間と

閉塞感いっぱいの現実と

マトリックス」ほどの暗さはないが

それなりに厳しく描きつつ

オタクの脳内カオスを

とことんまで視覚化

こっちの動体視力がついていかないほど

あれやこれや出てくる

その昔「スターログ」という雑誌があったが

あれの広告ページみたいな詰め具合

美少女系が手薄なのは自粛か?

「シャイニング」も楽しかったねえ

駄目、そっちには双子が!というヤバさ

そして血の海!

なつかしや~

などと思い出に浸る間もなく

メカゴジラだのガンダムだの

うっかり開けた押し入れみたいに

なだれ落ちてくる

で、結局

その押し入れから

何だかほろ苦いものまで出てくるのが

やっぱりスピルバーグかな

 

私としては

「ダーク・クリスタル」ネタが来た

懐かしや

キャラクターが可愛い作品でしたね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お徳用、わけあり

GW後半てことで

ワイドショーで謝罪会見など見ながら

だらだらと

せっかくだから

いいもの食べるかと

お高い方のスーパーに行ってみたが

一番の収穫は

おにぎりせんべい」でお馴染み

マスヤの

「お徳用せんべい」

180g入って170円という

財布に優しい価格

中味は「わけあり」の「おにぎせんべい」

割れてたり、多少いびつだったり

味はもちろん、あのおいしさ

やっぱりいいねえ

「わけあり」って言葉は

 

ところで先日

昼の猫パトロール中に

新顔を発見

まだ子猫っぽい大きさ

達者でな

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朝ドラの今後を考える。勝手に

ゴールデンウイーク前半だなんて

しょせん三連休じゃねえかよ

うちはカレンダー通りですから

などとひがむのは

なしにして

素直に楽しみます

ふだんゆっくり会えない友達と

久々に馬鹿話

あーくだらねー

何の役にも立たない

「朝ドラの今後を考える」

私は朝ドラは見てないが

惰性で見ている友達は

女の一生ものにはもう飽きた」

だそうで

「子役の出演期間が長い作品もイマイチ」らしい

その理由は

だいたい「個性の強いヒロインが周囲とぶつかる」

というエピソードの繰り返しで

見ていて疲れるから

というわけで

新しい朝ドラを検討してみる

友達は「イケメンもの」希望なので

男の一生にするか?

しかし朝からVシネマ的なものは濃すぎる

或いは

女の一生でも

常に周囲に気を遣い

無難に過ごしてきたヒロインが

ささいなきっかけから

「私、いい人辞めました」的に炸裂する話にするか

それとも

新婚旅行で事故に遭い

全身義体のサイボーグとなった人妻の

その後を描くか

もちろん出産、ママ友、姑、町内会、保育所、子供の稽古事

夫の借金発覚、電脳ハッキング等

毎週トラブル続出である

最初のシーンは義体化完了

晴れて新居に戻った彼女が

愛する夫に手料理を振る舞おうとするが

力加減がわからず

包丁でまな板を真っ二つ

という感じで

 

つくづく馬鹿話だと思う

でもね

ベトナム料理はおいしかったし

その後行った

ふだんゆっくりできない

猫のいる店で長居して

ちゃんと猫にも襲撃してもらって

楽しかったわ

 

 

 

 

 

 

何やっても天才

さて高松での第二日

朝食は勿論うどん

そして香川県ミュージアムの特別展へ

「20世紀の総合芸術家 イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ」

長いタイトルだねー

というわけで

今回のツアーのテーマは「イサム・ノグチ、そしてうどん」

館内へ入ります

まずは「身体との対話」ということで

初期の肖像作品などを展示

そして1930年に北京を訪れ

斉白石と知り合った事がきっかけで生まれた

「北京ドローイング」と呼ばれる

墨で描いた人物画のシリーズ

実は一番見たかったのが、これ

思ってたよりずっと大きかったというか

ほぼ等身大で

一気に描かれている

力みもなければ

淀みもない

自由に澄み切った線が

人間の肉体の美しさを

最も単純な形で伝える

たぶん初めて筆と墨で描いたんだろうけど

やっぱ天才は何やっても天才

 

続いては

「日本との再会」と題して

日本のやきものにインスパイアされた作品

粘土細工みたいな

小さな作品もいいね

そしてかの有名な

「あかり」シリーズ

こういうのが似合う部屋に

住んでみたいもんだ

 

さらに

「空間の彫刻ー庭へ」

イサムが世界各国に作った庭園

その模型や写真が並ぶ

あちこち行ってみたくなる

地面に刺さっているような立方体とか

毎日見える場所で働いたら

どんな気分だろうか

 

そして最後は

「自然との交感ー石の彫刻」

このあたりからが

昨日訪れた庭園美術館

アトリエで生まれたものと

重なってくる

 

人間の身体から出発し

それを取り囲む空間

庭の造形へと発展し

さらに全てを内包する

自然へと回帰する

長い旅路

日米混血ということで

どちらの側からも

拒絶された経験を持つ彼は

だからこそ

自分の所属する

もっと大きなものに

気づけたのかもしれない

 

この展覧会は

まず大分で開催され

今は高松

7月には東京へと巡回

中四国、近畿エリアの方は

やはり高松に来るべし

そして庭園美術館にも

足を運んでほしい

なお

日曜でしたが

かなり空いてた

広々とした読書スペースもあり

素敵な美術館なので

好きな人は一日遊べると思うよ

 

 

 

 

 

 

 

イサム・ノグチ庭園美術館

高松に行った目的の一つが

イサム・ノグチ庭園美術館

彫刻家、イサム・ノグチ

アトリエ、住まいと庭園を

美術館として公開している

場所は高松市内といえど

牟礼という

ちょっと辺鄙な場所

ことでん高松築港駅より

瓦町で志度線に乗り換え

ゴトゴト揺られ

ああ、うどんで上がった血糖値のせいか

睡魔が・・・

今、八栗って言った?言ったよな?

危うく乗り過ごしそうになって下車

のどかな住宅地

ここから徒歩約ニ十分

手には一枚のはがき

なんとこの美術館は予約制

それもネットや電話ではなく

「往復はがき」

予約完了を知らせるそのはがきに

地図が印刷されておるのです

アナログ感炸裂

夏のような陽射しの中

なんとか迷わず行けたよ

ここは庵治石の産地で

近所は石屋さんだらけだが

美術館周辺はとても静か

というか

ウグイスを始め

色んな鳥の声が聞こえる

小さな山の麓

予約したからといって

ご自由にご観覧下さい

ではなく

スタッフの方に引率されての見学ツアー

まずはアトリエから

ここは丸い石壁に囲まれたスペースで

まだ制作の途中だという

色んな石が置かれている

さあどうぞ、と言われて

足を踏み入れる

地面にはうっすらと

箒の痕が

我々は本日三回めのツアーのはず

これもしかして

毎回掃いてるんですか?!

なんかもう

神社、いやそれ以上

奥には移築してきたという

明治時代の酒蔵があって

ここに

「真夜中の太陽」と「エナジー・ヴォイド」という

作品が置かれている

外は抜けるような青空で

蔵の中はひんやりと

静かに力を放射している

大きな石

エナジー・ヴォイド」を見上げると

その黒い表面を

とても小さなベビーヤモリが

登っている

少しずつ

少しずつ

 

作業場所に使われていた

もう一つの蔵には

色々な道具が

本当に無造作に置かれていて

つい昨日まで

イサムが制作していたんじゃないか

そんな気すらしてくる

 

さて次は

江戸時代の武家屋敷を移築したという

イサムの住まいと庭、彫刻庭園へ

住まいには入れないので

外から見るだけ

生活感は、ない

アートな空間

庭もシンプル

そして山肌に作られた石段から

彫刻庭園へ

元は段々畑だったという

曲線と斜面

大地を使って表現した

彫刻そのもの

けっこうきつい坂を

一歩ずつ上ってみる

今の私は

エナジー・ヴォイド」を上っていた

ベビーヤモリと

まさに同じ

なるほどイサムの作品は

自然そのものなのだ

斜面を登り切ると

目の前に屋島がそびえ

その右手に海が光っている

とても気持ちのよい場所

 

というわけで

約一時間のツアーは大満足

この環境を維持し続けるためには

週三日、一日三回のみ見学可という

厳しめの条件も致し方ないかと

あと往復はがきもね

ちなみに

ほとんどが屋外なので

真夏、真冬と梅雨時は

お勧めできない

傘と麦わら帽子の貸し出しはあるけど…

受付のところに自販機があるので

水分補給は大丈夫

 

これが高松訪問ミッションその一

もう一つは翌日に

 

週末は高松

週末は香川へ

うどんの国

高松駅に着き

改札を抜ける前に

もううどん

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それから琴電に乗り

牟礼へ向かう

ここは石の町

石屋さんだらけ

並びまくる謎の作品群

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加工を待つ石の数々

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そして山は

庵治石切り出し途中

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この町に一体何が?

それはまた改めて

 

夜はやはり

高松名物、骨付き鳥

一鶴」という店へ

十人ばかり並んでる

そこを我慢して待ち

骨つきもも肉を堪能しました

親鳥とひな鳥の二種類あって

柔らかそうなひな鳥を選択

一緒に鳥めし(スープつき)も注文

来たよ

外はパリっと、中はジューシー

熱々に焼けたのが

シンプルに塩、胡椒、そしてニンニクの味つけ

手づかみでかぶりつく

肉、肉、肉

間に生キャベツで休憩

たぶんこの店に来た人は

来る前より更に親しくなって帰る

それくらい

自分をさらけ出さないと食べられない

骨つき鳥との闘いを終え

クールダウン的な感じで

鳥めしを食べる

こちらもしっかりとした味がして

満足でございます

 

一夜明け

朝食はやはりうどんから

そして腹ごなしに

海の方へ歩いてゆくと

なんか煙が流れてる

いやそうじゃなくて

霧が出てる

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これはまさに萩尾望都

バルバラ異界」に出てきた

「瀬戸内海に現れる謎の島」みたいだ

霧の中でしばし茫然

実はこの時期、この地域には

よく霧が発生するらしい

今から60年ほど前には

修学旅行生を乗せた船がフェリーと衝突し

百人を超える犠牲者を出した事故もある

ということで

決して侮れない

でも午後になると

すっきり明るい瀬戸内だった

 

去り際にまたうどん

食べながら思う

写真撮ってない

そう

骨付き鳥もですが

ほとんどの場合

食べ物が出ると

即、食べる方に気持ちが向かい

写真なんざ忘れている

やーねえ