「おとこのるつぼ」

群ようこ「おとこのるつぼ」(新潮社)

男という生き物について

これでもか

これでもかと

その駄目っぷりを

憎しみを込めて

ではなく

淡々とした筆致で書く

ハゲに怯える

小さなプライドに固執

金に細かい

いるよなあこういう人

読み進めるうちに

激しく頷きつつも笑う

これが田辺聖子だと

「とはいえ男とはこういう所が可愛いのである」

という結論になるが

群ようこの場合

「ため息をつくしかないのだ」

という結びになる

かたや、父親の大きな愛と庇護を受けて育った女性

かたや、浪費癖のある父親を常に警戒して子供時代を過ごした女性

結果として男性観に大きな隔たりを生じる

群ようこのすごいところは

「だからこんなに不幸なんです」的な

自己憐憫のかけらも見せず

あくまで淡々としている点

彼女のスタンスは

初期の頃からまったくと言ってよいほどぶれない

エッセイストの中には

数年のうちに

書いてることが激変する人

というのもいる

これはこれで

その変わりっぷりに

鑑賞価値があるのだけれど

群ようこのキャリアの長さと安定性

なぜかいつも

高橋留美子を思い出してしまう

 

ところでこの本

初出は「新潮45」とある

読者の大半は「おじさん」

つまりこれは、啓蒙の書か?

いえいえ

これを読んで

「ひでえな~。でも俺は違うからな」

そう言えるのが

男という生き物だと思う

 

 

春の安否確認

今日もパトロールに行ってきた

春になって初めて

あの方に遭遇

やっぱり寝ています

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こちら飼い猫のようなので

安心だけど

猫屋敷アネックス(ただの空き家)に住む

黒白猫は野良

いつも呼吸音が荒かったので

心配していたものの

先日ようやく安否確認

無事に冬越し

実はその少し前

見てしまったんですよ

猫屋敷アネックスの門に

餌を置いてる人を

自転車に乗ってきた女性

もしや以前

魚のほぐし身を置いていった人ではないかと

彼女の助けもあって

食いつないでいたのか

でも微妙な

野良の餌付け問題

答えが出ない

 

 

 

 

猫なりの分別

よくお昼を食べに行く店

元々、猫がいるんだけど

ここしばらく

里親募集中の子猫が

預かられていて

店内を走り回っている

可愛いんだこれが

お店の飼い猫は立派な大人なので

そう人間にちょっかいを出さないが

こちらは子猫

私が携帯を見てると

角っこに頭をすりすり

鞄の中は何じゃろな

首を突っ込んでみたり

とにかくじっとしていない

 

今日も店に入るなり

ニャ~と呼びかけてくれて

テーブルの上に乗り

互いに頭突きでごあいさつ

なんか毎週会う度に

大きくなってると感じる

育ち盛り

でもそれは

身体だけじゃなかった

ちょっと前までは

油断していると

テーブルに飛び乗り

お茶のグラスに顔を突っ込む

(さすがにこれは交換してもらう)

料理のお皿にぐいぐい来る

(死守します)

などなど

とにかく暴れまくっていたのが

今じゃずいぶんと

落ち着いてきたじゃありませんか

空いた席にひとり座って

じっとしている時もある

なんかこう

猫なりの「分別」が芽生えたような

子猫の数週間って

人間でいえば何か月にあたるんだろうか

 

とはいえ

無防備な人懐っこさが

この方の魅力

もうしばらく暴れていてほしい

そして

いい家族に出会っておくれ

 

 

 

 

 

背割堤の桜

このごろ週末のたびに歩き回っていて

今回は八幡市

淀川河川敷公園の背割堤の

桜を見に行く

ここは混むんだよ

なので早朝に出発

八時頃現地へ

すでに人の流れは続々

対岸には石清水八幡宮

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堤防の上は桜のトンネル

長さは1.4キロとの事

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端っこまで歩いたら

下を歩いて戻ります

鶯も鳴いてるよ

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雑草も密かにいい感じ

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すでに桜は散り始めて

今年はこれでミッション完了

満足して帰る道すがら

さあこれから花見!の

押し寄せる人波と行き違う

花見ってのは

頭上の花もさることながら

その下にいる人たちの笑顔も

楽しむことだなあ

そういえば

「咲」という字は

「笑」という意味でもあるのだ

さて

一緒に歩いた友人の万歩計が

最終的に一万八千歩を記録

道理で

早起きのせいもあり

眠い・・・

 

 

 

コスパ満点?

このようなものを

いただいた

というか

不要品を回収

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BOOK1から3まで

力技で一冊に

(いかにも外国人が書いたっぽい

一二三がいいですね)

背表紙に皺がないのは

分厚さに気力が萎えたか

一気読みしたのか

ちょうど

風呂で読む本が切れていたので嬉しい

それに

ペーパーバックは

読むのに時間がかかるため

コスパがいいような気がするのだ

近頃の文庫本は

千円近くするのに

あっという間に読めたりしてねえ…

 

そういえば

初めて読んだ村上作品も

もらいものだった

とあるお金持ちのマダムが

「うちの娘が好きな作家なの

読み終わったから、あげるわ」と

下さったのが

ノルウェイの森 下巻」

ちょっと!上巻は!

などという突っ込みはできず

自腹で購入

一気読みしたら

夜中の三時頃になっていた

あれがなければ

私は未だに

村上作品を読んでいないかもしれない

マダム、ありがとう

 

 

 

 

誰も見てないけど

今日も昼休みは外でぶらぶら

予想以上に桜が咲いて

なんか勿体ないような気がする

そんな中

ここの桜は

誰が見に来るわけでもなく

家も空き家らしいんだけど

天に向かって堂々と

思い切り咲いている

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そして猫ポイントパトロール

冬の間ご無沙汰していた

黒猫さん発見

くつろいでます

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1954年12月のモスクワ

ラヴェル

「亡き王女のためのパヴァーヌ

ピアノ版とオーケストラ版があり

ピアノ版を動画サイトで聞き比べ

作曲家自身の演奏もあり

これはこれで味わい深いんだけど

リヒテルの演奏を発見

リヒテル

よく聞く名前じゃーありませんか

どれどれ

 

たまげた

冒頭の素朴な感じに始まり

感傷的になり過ぎず

淡々としかし丁寧に

骨のある素晴らしい演奏

そこで改めて

リヒテルについて検索

書いてあったよ

「20世紀最大のピアニスト」って

すいません

なんかクラシックって

ブーニン?ミーハーだね、みたいな

蘊蓄を語る感じがどうも鬱陶しく

誰が弾いてても別にええんじゃ!的に

ビッグネームを回避してきた結果が…

 

ところで

このサイトに上がってるのは

1954年12月のモスクワでのライブ録音

ヘッドホンで聴いてると

いや聞こえるわ聞こえるわ

客席の皆さんの咳払いが

しょーがねえな全く

そう思う一方で

なんかとても貴重な

時代の記録のような気がしてきた

1954年

第二次世界大戦終結してから

まだ十年経っていない

12月

冬のソビエト連邦、モスクワ

劇場内は暖かかったのか

隙間風が吹きまくっていたのか

聴衆は特権階級だったのか

社会主義国の主役

労働者たちだったのか

衣食住、足りていたのか

風邪なんか冬じゅうひきっぱなしだったのか

一つ一つの咳払いに

そんな事を思う

ちなみにソ連では

スターリンがその前年に死去

この年より原子力発電を開始

チェルノブイリ原発での事故は

それから32年後

 

なんとなく

コンサート会場での咳払いに

少し寛容になれそうな気がしてきた