何やっても天才

さて高松での第二日

朝食は勿論うどん

そして香川県ミュージアムの特別展へ

「20世紀の総合芸術家 イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ」

長いタイトルだねー

というわけで

今回のツアーのテーマは「イサム・ノグチ、そしてうどん」

館内へ入ります

まずは「身体との対話」ということで

初期の肖像作品などを展示

そして1930年に北京を訪れ

斉白石と知り合った事がきっかけで生まれた

「北京ドローイング」と呼ばれる

墨で描いた人物画のシリーズ

実は一番見たかったのが、これ

思ってたよりずっと大きかったというか

ほぼ等身大で

一気に描かれている

力みもなければ

淀みもない

自由に澄み切った線が

人間の肉体の美しさを

最も単純な形で伝える

たぶん初めて筆と墨で描いたんだろうけど

やっぱ天才は何やっても天才

 

続いては

「日本との再会」と題して

日本のやきものにインスパイアされた作品

粘土細工みたいな

小さな作品もいいね

そしてかの有名な

「あかり」シリーズ

こういうのが似合う部屋に

住んでみたいもんだ

 

さらに

「空間の彫刻ー庭へ」

イサムが世界各国に作った庭園

その模型や写真が並ぶ

あちこち行ってみたくなる

地面に刺さっているような立方体とか

毎日見える場所で働いたら

どんな気分だろうか

 

そして最後は

「自然との交感ー石の彫刻」

このあたりからが

昨日訪れた庭園美術館

アトリエで生まれたものと

重なってくる

 

人間の身体から出発し

それを取り囲む空間

庭の造形へと発展し

さらに全てを内包する

自然へと回帰する

長い旅路

日米混血ということで

どちらの側からも

拒絶された経験を持つ彼は

だからこそ

自分の所属する

もっと大きなものに

気づけたのかもしれない

 

この展覧会は

まず大分で開催され

今は高松

7月には東京へと巡回

中四国、近畿エリアの方は

やはり高松に来るべし

そして庭園美術館にも

足を運んでほしい

なお

日曜でしたが

かなり空いてた

広々とした読書スペースもあり

素敵な美術館なので

好きな人は一日遊べると思うよ

 

 

 

 

 

 

 

イサム・ノグチ庭園美術館

高松に行った目的の一つが

イサム・ノグチ庭園美術館

彫刻家、イサム・ノグチ

アトリエ、住まいと庭園を

美術館として公開している

場所は高松市内といえど

牟礼という

ちょっと辺鄙な場所

ことでん高松築港駅より

瓦町で志度線に乗り換え

ゴトゴト揺られ

ああ、うどんで上がった血糖値のせいか

睡魔が・・・

今、八栗って言った?言ったよな?

危うく乗り過ごしそうになって下車

のどかな住宅地

ここから徒歩約ニ十分

手には一枚のはがき

なんとこの美術館は予約制

それもネットや電話ではなく

「往復はがき」

予約完了を知らせるそのはがきに

地図が印刷されておるのです

アナログ感炸裂

夏のような陽射しの中

なんとか迷わず行けたよ

ここは庵治石の産地で

近所は石屋さんだらけだが

美術館周辺はとても静か

というか

ウグイスを始め

色んな鳥の声が聞こえる

小さな山の麓

予約したからといって

ご自由にご観覧下さい

ではなく

スタッフの方に引率されての見学ツアー

まずはアトリエから

ここは丸い石壁に囲まれたスペースで

まだ制作の途中だという

色んな石が置かれている

さあどうぞ、と言われて

足を踏み入れる

地面にはうっすらと

箒の痕が

我々は本日三回めのツアーのはず

これもしかして

毎回掃いてるんですか?!

なんかもう

神社、いやそれ以上

奥には移築してきたという

明治時代の酒蔵があって

ここに

「真夜中の太陽」と「エナジー・ヴォイド」という

作品が置かれている

外は抜けるような青空で

蔵の中はひんやりと

静かに力を放射している

大きな石

エナジー・ヴォイド」を見上げると

その黒い表面を

とても小さなベビーヤモリが

登っている

少しずつ

少しずつ

 

作業場所に使われていた

もう一つの蔵には

色々な道具が

本当に無造作に置かれていて

つい昨日まで

イサムが制作していたんじゃないか

そんな気すらしてくる

 

さて次は

江戸時代の武家屋敷を移築したという

イサムの住まいと庭、彫刻庭園へ

住まいには入れないので

外から見るだけ

生活感は、ない

アートな空間

庭もシンプル

そして山肌に作られた石段から

彫刻庭園へ

元は段々畑だったという

曲線と斜面

大地を使って表現した

彫刻そのもの

けっこうきつい坂を

一歩ずつ上ってみる

今の私は

エナジー・ヴォイド」を上っていた

ベビーヤモリと

まさに同じ

なるほどイサムの作品は

自然そのものなのだ

斜面を登り切ると

目の前に屋島がそびえ

その右手に海が光っている

とても気持ちのよい場所

 

というわけで

約一時間のツアーは大満足

この環境を維持し続けるためには

週三日、一日三回のみ見学可という

厳しめの条件も致し方ないかと

あと往復はがきもね

ちなみに

ほとんどが屋外なので

真夏、真冬と梅雨時は

お勧めできない

傘と麦わら帽子の貸し出しはあるけど…

受付のところに自販機があるので

水分補給は大丈夫

 

これが高松訪問ミッションその一

もう一つは翌日に

 

週末は高松

週末は香川へ

うどんの国

高松駅に着き

改札を抜ける前に

もううどん

f:id:nyanpokorin:20180422232343j:plain

それから琴電に乗り

牟礼へ向かう

ここは石の町

石屋さんだらけ

並びまくる謎の作品群

f:id:nyanpokorin:20180423000249j:plain

加工を待つ石の数々

f:id:nyanpokorin:20180422232828j:plain

そして山は

庵治石切り出し途中

f:id:nyanpokorin:20180422233015j:plain

この町に一体何が?

それはまた改めて

 

夜はやはり

高松名物、骨付き鳥

一鶴」という店へ

十人ばかり並んでる

そこを我慢して待ち

骨つきもも肉を堪能しました

親鳥とひな鳥の二種類あって

柔らかそうなひな鳥を選択

一緒に鳥めし(スープつき)も注文

来たよ

外はパリっと、中はジューシー

熱々に焼けたのが

シンプルに塩、胡椒、そしてニンニクの味つけ

手づかみでかぶりつく

肉、肉、肉

間に生キャベツで休憩

たぶんこの店に来た人は

来る前より更に親しくなって帰る

それくらい

自分をさらけ出さないと食べられない

骨つき鳥との闘いを終え

クールダウン的な感じで

鳥めしを食べる

こちらもしっかりとした味がして

満足でございます

 

一夜明け

朝食はやはりうどんから

そして腹ごなしに

海の方へ歩いてゆくと

なんか煙が流れてる

いやそうじゃなくて

霧が出てる

f:id:nyanpokorin:20180422234633j:plain

これはまさに萩尾望都

バルバラ異界」に出てきた

「瀬戸内海に現れる謎の島」みたいだ

霧の中でしばし茫然

実はこの時期、この地域には

よく霧が発生するらしい

今から60年ほど前には

修学旅行生を乗せた船がフェリーと衝突し

百人を超える犠牲者を出した事故もある

ということで

決して侮れない

でも午後になると

すっきり明るい瀬戸内だった

 

去り際にまたうどん

食べながら思う

写真撮ってない

そう

骨付き鳥もですが

ほとんどの場合

食べ物が出ると

即、食べる方に気持ちが向かい

写真なんざ忘れている

やーねえ

 

 

 

 

 

 

夜の街で磨いておられる

何となく見ちゃったよ

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

《銀座 夜の女たちスペシャル》

華やかでありながら厳しい世界

ドラマですなあ

一流の女が待つ店に

一流の男が集う

銀座は男を磨く街

そうかそうか

道理でうちの社長も

銀座とは言わんが

夜の街で男を磨いておられるため

あちこちの店から

「三周年を迎えました」

「お花をありがとうございました」

みたいな葉書が届くよ

時として、仕事の郵便より多い

そしてよく

朝の四時頃に

ご帰宅なさってる

これはタクシー会社より

「ご乗車ありがとうございました」メールが

送信されるので

判っちゃうのである

経費で落とすから

会社のメルアドに来るんだよ

だからといって

夜を徹して

骨身を削って接待してるわけでなく

あくまで私的な交際

そんな日は

朝少しだけ出社して

あとはお家でリカバリ

歩いてすぐの距離だから

 

夜の街じゃあ

親切な人なんだね社長

だって男を磨いてるから

それは判ったから

一円でもいいから

ボーナス出してみろよ!

出せなくなって何年だ!

昇給も全然しないな!

業績悪化のせいだと言ってるが

だったら経費でタクシー代落とすな!

以上

ちょっとやさぐれてみました

銀座に恨みがあるわけではありません

 

 

 

何に優しい

近所のオーガニックのパン屋さん

開業して二年ほどか

売れてます

夕方前を通ると

「本日は完売いたしました」

などという

食べ物商売なら一度は出してみたい

札が提げられている

がしかし

シャッターの降りた店の前に

ぽつんと置かれた

オリーブの大きな鉢植え

枯れてます

そういえば

オープン当時

開店祝いらしい

ベンジャミンの鉢植えが

リボンをかけられて

同じ場所に置いてあったんだけど

少しずつ元気がなくなって

枯れたんだよなあ

でもね

新築祝いとか開店祝いの

観葉植物が枯れるのは

悪い「気」を吸い取ってくれたって事で

良しとするもんらしい

それにまあ

開店してから軌道に乗るまで

はっきり言って

鉢植えの世話どころじゃなかったろうと

そうは思う

で、今

なんでまた同じ場所で

同じように枯らすのか

そこが謎

看板には「身体に優しい素材だけを使っています」

うーむ

植物にはあまり優しくない

大きなお世話だが

とりあえず鉢植えは

目につかない場所へ動かした方がよいかと

 

 

 

巡査来る

職場に巡査が来たよ

近所の交番から

来客の応対は大体私なので

出ます

ここ数日

何かと物議を醸している

巡査

用件はただ

年に一度の

「お変わりないですか」という

代表者その他の確認作業

はいはいと回答しながらも

少し心が騒ぐ

しかし多分いまこの時期

全国各地の巡査たちが耳にしているであろう

しょうもない事は言うまいと

そう思ううち

「ちょっと気になる事があって」と

口走ってしまう

「近所の大学の学生さんが

いつも自転車で

そこのバス通りの横断歩道

信号無視して

すごい勢いで突っ込んで来るんです」

けけけ

言ってやったぞお前ら

「将来のある学生さんだから

事故とか起こしたら可哀想ですし」

などとフォローのふりもしつつ

巡査

「わかりました

見かけたら厳しく注意します」と

去っていったよ

ご苦労さまです

 

 

 

「大奥の女たちの明治維新」

「大奥」に駄作なし

万が一、色紙に一筆などと頼まれたら

この言葉を書きたいと

そう思うほどの

私は「大奥」好きである

といってもシステムそのものではなく

ドラマ、映画で

タイトルに「大奥」と入っていれば

これはもうほぼ100%楽しめる

男女逆転だろうが

「んな馬鹿な」という設定が紛れ込んでいようが

「上様、おな~り~」の一声で

いとも簡単に大奥ワールドへの

お鈴廊下を渡ってしまうのだ

 

というわけで

安藤優一郎「大奥の女たちの明治維新幕臣、豪商、大名ー敗者のその後」(朝日新聞出版)

ドラマと映画により

テーマパーク化している

私の「脳内大奥」を修正するべく

本当のところ、どうだったんですかね

というのを探ってみる

とはいえ本書の主題は明治維新

タイトルは「餌」だった

なので大奥について割かれているのは第一章のみで

あとは江戸城に仕えていた幕臣だとか

江戸城に出入りしていた商人だとか

全国各地の大名だとか

徳川幕府が支配していた世の中から

明治維新によって放り出された

いわば負け組たちの「その後」に触れる

 

どうしたって歴史というものは

勝者が己の正当性を高めるために

自分に都合のよい話だけをまとめて

「これが正史じゃ」と

言い切るものだけれど

その陰で

激変した世界を生き延びた人たち

それぞれの見た光と闇が

現在に続く本当の歴史を作ってきた

いまこの時代も

あと何年もすれば

「平成という分岐点」などと

言われたりするんだろうか

流れの中にいる者には

一体どこに漂着するのか

さっぱり判らんものですね

 

てことで

やはり「大奥に駄作なし」であった